「均等法の母」赤松良子さんが、2024年2月6日に急逝されました。赤松さんとともに政治やジェンダー平等の活動を行ってきた女性団体の呼びかけで、赤松さんの「幻の95歳のお誕生日」である8月24日に、「思い出の会」が開催され、100人を超える参加者が集いました。本会からは、旧知の間柄でもある樋口名誉理事長をはじめ、「クオータ制を推進する会(Qの会)」の役員等が参加し、赤松さんのお人柄やご活躍について語り合い感謝の思いを共有しました。
赤松さんは、100歳まで生きる覚悟で、まだ実現できていない課題の「長い列に並び続ける」つもりだったとのことです。参加者全員でこの意志を引き継ぎ、列に並び続ける決意を新たにしました。
本会の討ち入りシンポや講演会にも足を運び、飛び入りでメッセージを語ってくださった赤松さん。お知らせが届かないと「案内が届かない」と樋口宅に不機嫌な声で電話がきたことがまるで昨日のことのようです。赤松さん、ありがとうございました。
去る6月8日の総会で行われた役員改選により、新理事長に選出された木村民子です。樋口恵子理事長は勇退され、改めて名誉理事長に就任されました。袖井孝子、沖藤典子両副理事長も辞任され、理事として引き続き本会にご尽力いただくことになりました。新しい副理事長の渡辺敏恵さんは医師、石田路子さんは社会福祉・社会保障の研究者であり、今後はこの新体制で臨みますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
先輩方は介護保険の創設に力を尽くし、男女平等社会への道を切り拓いたといっても過言ではありません。ただ今日、超高齢社会を迎え、かつてないほど高齢者の生活は脅かされています。とりわけ在宅介護の命綱である介護保険の改定に関しては予断を許さない状況です。これからも常に会員の皆様へ情報を提供しつつ、調査研究の結果や皆様から寄せられた声を、国にも届けてまいります。
先日は新役員3人で厚労省、内閣府男女共同参画局に表敬訪問に伺い、特に前老健局長からは予定時間を超えて、貴重な懇談の機会をいただきました。
ご存じのように当会は会員の方々の高齢化や会員数の減少など、厳しい状況に直面していますが、この世代交代の機会を新しいスタートととらえ、先輩の皆様が築いてこられた活動を継続し、さらに発展させていきたいと考えております。
今夏は連日命を脅かすような猛暑が続いておりますが、どうぞ皆さまはご健康に留意され、お元気でお過ごしいただきますよう、お祈り申し上げます。
WABASのホームページ更新をお手伝いさせて頂いている、久留と申します。約30年前、人口高齢化に関するシンクタンクで樋口前理事長の対談シリーズを担当したことがご縁で入会した、名ばかりの古米会員です。その後途上国支援のコンサルタントに転身し、現在国際協力機構(JICA)の研究所で研究員をしております。
ウガンダは東アフリカ、ケニアの西に位置し、南にナイル川の源流であるビクトリア湖を擁する。故チャーチル英国首相が「アフリカの真珠」と呼んだ緑したたる自然が自慢。人口約4100万人(2020年推計)、国土面積は本州とほぼ同サイズ。 |
最近は東アフリカのウガンダ国で、思春期の子供達の望まない妊娠を低減させるための研究を進めております(詳細はこちら[777KB])。18歳以下が人口の半数を占める同国で、未婚者の平均初交年齢は男性が18.3歳、女性が16.6歳(2016年人口保健統計)で、その若年化は加速しています。その結果、多くの望まない妊娠が発生し、非合法の中絶が蔓延していることが指摘されていますが、実態は把握されておりません。ただ、妊産婦死亡の17%が15-19歳の少女達(UNFPA 2021年)で占められていることが、その一端を表していると言えます。思春期の望まない妊娠の根本には貧困があるものの、10代初めからの奔放な性活動、数少ない娯楽としてのセックス、妊娠や避妊の知識の欠如、性体験がないことは恥ずしいという同世代からの同調圧力、親の子に対する無関心、学校における実践的な性教育の不足など様々な問題が挙げられています。私達は、少しでも正しい情報と安全な避妊具を多くの若者に届けるために、どんな農村にも存在する“モバイルマネーショップ(携帯電話を介して送金などを行うキオスクタイプの店舗)”を介して避妊に関する情報、避妊具配布を含む社会実装研究を実施しています。2024年7月現在実装試験中ですが、毎日1店舗あたり平均5〜10名の15-19歳の若者が性と生殖に関する情報や避妊具を受け取っており、手ごたえを感じております。年末までに実験地域と比較地域の若者へのアンケート調査を実施し、その有効性を検証する予定です。
足元日本ではセックスレス、非婚化、少子化、高齢化が未来を揺るがす社会問題となっているのに対して、別世界のお話。実はウガンダでは性交は崇高なるコミュニケーション手段と信じられている文化的側面もあります。濃厚なスキンシップと濃厚なコミュニケーションの交錯?その大らかさが正直うらやましく感じられないこともないです。若年妊娠の母体や胎児への影響、少女の将来の可能性への暗雲はあるものの…
恒例の国際女性デー記念院内集会が3月7日、『議席の半分に女性を!政治改革〜忘れていませんか?クオータ制』をテーマに参議院議員会館で行われました。このところの集会ではYouTube同時配信も行ってきましたが、今回は私たちの思いを結集させ直接伝えたいと現地のみのリアル開催となりました。
まず2月7日に急逝されたQの会 赤松良子代表に全員で黙とうを捧げ、ご冥福をお祈りして、開会は超党派議連の中川正春会長のごあいさつから。「今国会中にクオータ制の導入案をまとめ、各党に検討を呼びかける」と発言があり、会場の参加者を勇気づけました。続いて、赤松良子代表のビデオメッセージが投影され、代表を偲びながら会場に新たな決意がみなぎったようでした。
第1部は各分野からのリレートーク。本会の樋口理事長はビデオメッセージでの登壇で、「今日は赤松さんの弔い合戦の第一戦。赤松さんを見てきた私たちがしっかりと伝え実現していきます。天上から応援してください」と力強く語りました。
第2部では、主要8党から、クオータ制推進と次期衆議院選挙での女性候補者擁立の目標値や取組みについて報告されました。
ミモザの花を飾った会場には、シンボルカラーの黄色を身につけた議員・一般・メディア合わせて参加者約140名が集い、熱気あふれる集会となりました。本会会員・池谷照代さんがはるばる藤枝市から参加され、こちらが元気をもらいました。静岡でクオータ制推進の旗を振ってください!
高齢社会をよくする女性の会、ウィメンズアクションネットワーク、日本障害者協議会の3団体が呼びかけ団体となって、2月1日に厚労省記者クラブにおいて記者会見を行いました。
一昨年11月以来、「史上最悪の介護保険の改定を許さない」をスローガンにオンライン・シンポジウムや院内集会を重ねてきました。こうした運動が効を奏したのか、自己負担を1割から2割に引き上げることやケアプランの有料化は今回の改定では見送られることになりました。
やれやれと安心していたところ、本年1月22日に突如、厚労省は訪問介護の基本報酬を引き下げると発表いたしました。ただでさえ人手不足の訪問介護事業にとって、基本報酬の引き下げは致命的です。倒産するところも出てくるでしょう。
在宅介護にとって訪問介護は必須です。皆さん、基本報酬の引き下げに反対の声をあげていきましょう!
発表した声明文を添付しますので、ご覧ください。ご意見もお待ちしています。
2017年7月山口県大島郡周防大島町東和地区民生・児童委員17名が研修のため、本会に来訪。理事長始め理事の方と親しく懇談(週刊WABAS139号参照)。今回、別件での同町訪問の機会を得た私は、福祉課原賀氏に連絡し、同会への答礼訪問を打診。前もって樋口理事長よりごあいさついただいたおかげで、東和地区現会長の川崎壽夫氏と東和地区副会長で以前訪問してくださった柳原春美氏に面談することができた。過疎化が進む中で、増え続ける要介護者への対応は、民生委員だけでなく、近隣の住民を巻き込み、ケアマネとも連携しながら、地域を挙げてみんなで見守っていくというシステムを構築していると。まさに、「地域包括ケアシステム」のお手本である。その節、話題になった「地域カフェ」を現在も継続しているとおっしゃる副会長の柳原氏は、「過疎化の中でいろいろ大変だが、地域住民の協力を得て、今も頑張っている」と、熱く語ってくださった。
ところで、今回、私がこの島に興味を持ったのは、島の高校生が、フラを通じて明治の頃にハワイに移住した多くの島民の苦労を知り、その足跡を尋ねてハワイの大学に留学したというテレビ番組を見たのがきっかけで、「瀬戸内のハワイ」と呼ばれるこの島に行き、できればフラも習いたいと思いたち、ネットで検索。島の観光協会の江良氏に直接電話して、宿と指導してくださる先生を紹介していただいた。
島の入り口、「周防大島大橋」のすぐ側で「旅籠くぬぎ亭」を運営する野口菊義氏は、「八十ばあさん周防大島フラ留学」を目論む風変わりな旅人に、「島の魅力を満喫して欲しい」と十日間(2023年8月21日〜30日)の滞在中、一家をあげて「温かいおもてなし」をしてくださった。
また、「フラは、老若男女みんなが楽しめる、世界で一番美しい踊り」と自負される小林一恵先生は、100歳を超えるご自分のご両親のお世話をご主人と一緒になさりながら、島内だけでなく、広島まで足を伸ばし、多くのフラ愛好家を育てていらっしゃる。「フラはね、心を伝える言葉だから、車椅子のお年寄りでも楽しめるの」と。始めてチャレンジする高齢の私にも、「楽しめばいいのよ」と懇切丁寧にご指導いただき、おかげで、ワンレッスン1時間半、合計四回のレッスンで、「ブルーハワイ」「ラハイナルナ」の二曲を何とか踊れるまでになった。
島への想いを綴った「周防大島フラの島」という私の歌詞に、川崎会長の知人が曲をつけてくださり、小林先生がお年寄り向けにフラの振り付けをし、島のお年寄りの「フレイル予防」に役立ててくださるという嬉しいハプニングも。
本会が役員団体を務める「クオータ制を推進する会(Qの会)」主催の院内集会が国際女性デーである3月8日に行われました。
今年は、候補者均等法施行後2回目となる統一地方選の年。女性議員増を目指して「議席の半分に女性を!どうする各党 統一地方選」をテーマに、会場参加とYouTube配信のハイブリットで開催されました。
オープニングで、【女性候補者応援団からのリレートーク】として、8名の方からメッセージをいただいた後、各政党から統一地方選での女性候補擁立の状況や取組みについて報告がなされました。また後半には、三浦まり上智大学教授/Qの会顧問から「国会と地方議会のジェンダー主流化」についてのお話と、岡田恵子内閣府男女共同参画局長から「政治の分野における男女共同参画について」行政説明がありました。
盛りだくさんの内容の中、会場には100名を超える参加者が集い、国際女性デーにふさわしい熱気ある院内集会となりました。
当日の模様は、YouTubeの「クオータ制を推進する会」から視聴できます。
後半の三浦教授と岡田局長のお話の中では、国会におけるジェンダーの流れがいかに遅れているか、地方議会の女性ゼロ議会の現状、日本と世界の比較などがわかりやすく説明されていますので、是非最後までご視聴くださいませ。
<参加者から>
リレートークではジャーナリスト等が会場から発言したほか、東京の杉並区と品川区の女性区長、それに田原総一朗氏らがビデオメッセージでの発言をなさった。その後、各党が統一地方選に女性候補者を出す努力をしている旨の報告があったが、30代、40代の女性が仕事と家庭を投げ打って選挙活動できるか。落選した場合、元の職場に戻れるか。女性議員を増やすには社会環境がまだまだだなぁと感じた。今回、自民党は欠席だったが、党内にジェンダー問題を学習する会を作ったという。期待したい。
第1回樋口恵子賞の受賞者に、この賞にふさわしい素晴らしい方々を選ぶことができ、本当によかったと思います。賞の立ち上げにかかわった者として、個人的な感想を以下に述べることにいたします。
樋口恵子賞を立ち上げようと名乗りをあげたのは、昨年の暮れ近く。そのきっかけは、樋口さんに初期の乳がんが発見され、手術が決まったことでした。「手術そのものは大したことないが、全身麻酔をするので、私の体力がもたないかもしれない。ひょっとすると麻酔から覚めないこともありうる」と言われてあわてました。
かねてより樋口さんから「これまでいろいろ受賞してきたので、かなりの金額が積み立てられている。私が死んだら何か有意義なことに使ってほしい」と言われていましたが、死んでしまった後で、新しい事業を開始するのは困難です。私を含めて高齢社会をよくする女性の会の会員は、かなり高齢化が進んでいますので、今始めなければ間に合わないでしょう。
しかし、実際に実行委員会が立ち上がったのは今年の2月でした。私自身、これまで賞を受けたことや賞の選考委員を務めたことはありますが、賞を与える側に回るのは初めてです。いつ頃、どんなことをすればよいのか、皆目見当もつきません。幸い大きな賞にかかわった経験のある方々が実行委員を引き受けてくださったおかげで、何とか前に進めることができました。
応募用紙は、とりあえず私が原案を作成し、実行委員会の皆さんに修正をお願いしました。節約のために、作業はすべて自前。印刷は、ネットでみつけた安い業者に依頼して、驚くほどの安値で仕上がりました。21世紀のデジタル時代に、19世紀の家内工業で立ち向かった感があります。
6月には、これまで樋口さんが寄稿したり取材を受けたりした新聞や雑誌に呼び掛けてプレス発表をしました。多くの新聞雑誌が取り上げてくれたおかげで8月末のしめ切までに122通の応募がありました。
122通のすべてをお忙しい選考委員の先生方にお送りするわけにはいきません。実行委員会で選別をして、最終的には40通にしぼりました。たくさんの応募があったのは嬉しいのですが、なかには書類不備のものが少なくありませんでした。初回なので、公平を期するために、高齢社会をよくする女性の会の支部活動は外させていただきました。事前に問い合わせがあった方には、その旨をお伝えしましたが、ご存じなくて応募された方にはお詫び申し上げます。
この賞が、来年以降も続けられるよう、皆様方のご協力をお願い申し上げます。
委員長 | 袖井孝子 |
実行委員 | 柳原智子、嶋美喜子、角田とよ子、石田路子、稲葉敬子、宮崎冴子 |
12月17日(土)、日比谷公園内の日比谷図書文化館ホールで、第1回「樋口恵子賞」の発表と表彰式が行われました。
全国から寄せられた申請書による応募は122件に及び、慎重に審査を行った結果、よりよい高齢社会に向けて意義ある活動をされている1人の個人と2つの団体を選ばせていただきました。
申請内容で一番多かったのが、高齢者の住宅問題の支援、憩いの場づくり、サロンやカフェの開催など(地域・世代間交流・高齢者サービス)でした。
次が様々な生活支援における有償ボランティアで、なかには100歳まで働ける職場の開設をし、収入の機会を作る(地域おこし・有償・収入)などに分類される活動もありました。
高齢者の健康寿命を延ばすための体操やスポーツ(体操・スポーツ)も多く、(子ども・子育て支援)、スマホの普及による活用支援講座(ICT関連)、(女性学の視点)、(医療・介護)と続き、終活、墓の問題である(エンディングサポート)、若年認知症のケアラー支援、難聴者団体の自助活動(ピアサポート・自助活動)など、多岐にわたりました。
当初、個人2名と1団体、賞金総額110万円を予定しておりましたが、圧倒的に団体の応募が多かったため、協議の結果、今回は個人1名、2団体、賞金総額130万円とさせていただきました。
受賞者 | 鈴木洋子氏(東京) |
活動分野 | 中国帰国者支援 |
活動内容 | 日本の植民政策により、開拓団として満州(中国東北部)に渡り、敗戦時に取り残されて日本に帰る機会を失い、日本国籍も抹消された中国帰国者が穏やかに晩年を過ごせるよう、日本語教室、通訳支援、居場所作りなどできめ細かくサポートしてきました。また、満蒙開拓の歴史を紹介するつどいを毎年開催し、ソ連の突然の対日参戦によって、銃撃に怯え飢餓や伝染病などに苦しんだ避難行程や、戦後の苦労や、日本に帰国後の適応困難などの、帰国者自身の体験談が詳細に語られた記録作成を行い、中国帰国者の存在と戦争の悲惨さが忘れ去られることがないよう発信を続けています。 |
連絡先 | 〒144-0051 東京都大田区西蒲田8-1-10-4階 「中国帰国者センター」 Email kikokusha@ocnet.jp |
受賞者 | 特定非営利活動法人 いこいの家 夢みん(神奈川) |
活動分野 | 地域活動・世代間交流・高齢者サービス |
活動内容 | 陸の孤島と言われた分譲型大規模集合住宅を暮らしやすい地域にするために「必要なものは自らの手で」と、日常生活支援・移動支援の有償ボランティア、介護予防や多世代交流の場の運営など、時には担い手、時には利用者として、柔軟に関わる住民主体の新たな取り組みが生まれ続けています。築50年を迎えた現在は、介護相談・支援などの専門性が求められる役割が増える一方、学習支援などの子育て世代が抱える悩みにも対応して、「誰もが人と関わりながら安心して暮らせる地域」を目指して、多世代が繋がりながら少子高齢化地域の課題解決に取り組んでいます。 |
連絡先 | 〒 244-0066 横浜市戸塚区俣野町1404-6「特定非営利活動法人 いこいの家 夢みん」 Email mumin-0480@twatwa.ne.jp |
受賞者 | 認定NPO法人 エンディングセンター(東京) |
活動分野 | エンディングサポート |
活動内容 | 夫婦一代限りの核家族化や非婚化など家族形態の多様化が進む中、日本の墓は継承制をとってきたために、跡継ぎがいないので入る墓がなくて困っている人が増加している現状は社会問題として解決すべきであると広く訴え、時代のニーズを先取りして、継承者を必要としない自然で親和的な樹木葬墓地、永代供養墓、合葬式墓地などを実現しました。また「脱・無縁社会」を活動の理念に掲げ、今後も増える「おひとりさま」に対応して、生前契約による葬送や死後事務などを担う、家族代替としてのエンディングサポートシステムを構築し、実施しています。 |
連絡先 | 〒195-0051 町田市真光寺町338-12 エンディングセンター町田事務所 Email info@endingcenter.com |
今後もよりよい高齢社会に向けての活動が、様々な分野で実を結び、明るい未来を築いていけるよう応援したいと思います。
卒寿を迎えた樋口恵子さんの講演タイトルは「90歳、マイ ラスト ラン」。 開口一番、私は病弱で長生きなど考えていなかった。こうして90歳を迎えられたのは皆さまのおかげです、と前置きして、「なんとかやり遂げてきたことと、やり残してきたことを見てみると、なかなか思い通りにはならないことが多い。たとえば「選択的夫婦別姓制度」未だに進展はない。決定の場への女性参画率も、世界では最下位に近いのだ。かつて著名な評論家・秋山ちえ子さんに、女性の地位向上・男女共同参画などちっとも変わらないと嘆いたら、「樋口さん、短期間では変わらなくても、50年くらいの長い時間で見てごらんなさい、必ず変わっていますから。でもそれには、変えたいという意思を持ち続け、訴え続ける活動がなくてはならないのよ」そう言って、背中を押してもらった。だから、変わらないからと言って、やり残したことを諦めるわけにはいかない。百寿に向けて、やり残した活動を続けていきたいといまあらためて思う…」。ひと息置いて、「卒寿迎え 我もなりたや 微助っ人(ちょっとした手助け、何かのお役に立ちたい=名付けてビスケット)」。と結び、満場の拍手喝さいを浴びた。
次は、数ヶ月差で卒寿を迎えた堂本暁子さん。タイトルは「鹿教湯温泉とMy Life」。パワポを使って講演に入る。「自然豊かで、人情が厚い鹿教湯温泉が気に入り、四季折々の風情を楽しみながら通ううちに、縁あって本日の主催者、女性活躍実行委員会、斎藤育子さんのホテルの住人となり、本日の講師の医師・天野惠子さんと、時間が許せば鹿教湯温泉に滞在している。日本の四季が見せる豊かな彩がここにはある、何よりも歴史ある名湯が常に一緒にある、鹿教湯温泉の広報宣伝マンになりたいくらい気に入っている。一時、健康に自信がなかったが、ここは温泉療養と、専門性の高いリハビリ施設が整っており、体調は快復できた。今後も災害復興と男女共同参画推進に向けて、活動を続けていきたい」。その一環として『声なき女性たちの訴え 女子刑務所からみる日本社会』を名執雅子さんの協力で刊行、会場で披露する。「罪を犯した女性たちが更生し、安心安全に暮らせる地域社会づくりにも力を入れていきたい。卒寿祝いを受け、鹿教湯温泉の発展とともに、これからも皆さまと社会活動ができれば、と願っている」。百寿に向けての進路を照らす頼もしい講演に、満場の拍手が贈られた。
お二人への拍手は、これからもお二人とともに歩み、活動して行こうと願う参加者たちの心からのエールだ。それを裏付ける名執雅子さん、天野惠子さん、中島恵理さんのお祝い講演が続き、デンマークのIT政策視察から帰国したばかりの本会会員・若宮正子さんからは、デンマークでは国民の様々な手続き、情報がIT化されおり、行政の連絡が郵便物の日本とは大違い、との驚きの報告もあって、この日の豊かな情報量は、鹿教湯温泉の湯量に負けなかった。 (事務局)